まっすぐ立っているつもりなのに、ひざとひざの間にすき間ができる。写真に写った自分の脚が、なんとなく外に張って見える。スカートやパンツのシルエットが、思ったようにきれいに見えない——。
脚のラインが気になるとき、多くの人は「脚の形は生まれつきだから」とあきらめてしまいます。もちろん、骨格の個人差はあります。でも、脚の見え方には、筋肉の使い方のくせも大きく関わっていることがあります。
今日は、脚のラインに関わる「内もも」の働きと、内ももを目覚めさせるピラティス、そして毎日の立ち方・座り方をお伝えします。
※骨格そのものを変えることはできません。また、痛みがある場合や、脚の形が急に変わった場合は、医療機関に相談してください。ここでお話しするのは、筋肉の使い方を整えるためのセルフケアです。
内ももが「眠っている」とはどういうこと?
太ももの内側には、脚を体の中心に引き寄せる働きをする筋肉(内転筋)があります。この筋肉は、脚を閉じる、立ったときに脚をまっすぐ支えるといった役割を担っています。
ところが、ふだんの生活では、内ももをしっかり使う場面はあまり多くありません。脚を組む、横座りをする、片脚に体重をかけて立つなどのくせがあると、太ももの外側ばかりが働き、内側はあまり使われない状態になりがちです。
内ももが働かないと、脚を支える力が外側に偏り、ひざが外に開きやすくなったり、太ももの外側が張って見えたりすることがあります。これが、「内ももが眠っている」状態です。
内ももが使えているかセルフチェック
- かかとをつけて立ったとき、ひざやふくらはぎの間にすき間ができる
- 座ると、ひざが自然に開いてしまう
- 脚を組むと落ち着く
- 靴底の外側ばかりがすり減る
- 太ももの外側の張りが気になる
いくつか当てはまる場合は、内ももがあまり使えていない可能性があります。
内ももを目覚めさせるピラティス5つ

1. クッションはさみ(あお向け)
あお向けに寝て両ひざを立て、ひざの間にクッションをはさみます。息を吐きながら、クッションをやさしくつぶすように内ももに力を入れ、吸いながらゆるめます。10回。強くつぶすより、内ももがじんわり働く感覚を大切にしましょう。
2. クッションはさみブリッジ
1の姿勢から、クッションをはさんだまま、息を吐きながらお尻を持ち上げます。背骨を下から順に床から離し、吸って止まり、吐きながら背骨を上から順に下ろします。5〜8回。お尻と内ももが一緒に働く感覚をつかみます。
3. サイドライイング・インナーサイリフト
横向きに寝て、上の脚のひざを曲げて前の床に置きます。下の脚をまっすぐ伸ばし、息を吐きながら下の脚を少しだけ持ち上げ、吸いながら下ろします。10回ずつ。小さな動きで、内ももを意識します。
4. かかと合わせのひざ閉じ
あお向けでひざを立て、足の裏を合わせてひざを開きます。息を吐きながら、内ももで引き寄せるようにゆっくりひざを閉じ、吸いながら開きます。8回。反動を使わず、ゆっくり行うのがポイントです。
5. 立ってかかと上げ(内もも意識)
かかとをつけ、つま先を少し開いて立ちます。内ももを寄せ合うイメージで、息を吐きながらかかとを上げ、吸いながら下ろします。10回。壁や椅子に手を添えて行うと安定します。
内ももを使える毎日の立ち方・座り方

立つとき:両足に均等に体重をのせる
片脚に体重をかけて立つくせがあると、脚の外側ばかりが働きます。両足の裏全体に均等に体重をのせ、内ももを軽く寄せるイメージで立ってみましょう。
座るとき:ひざをそろえる
椅子に座るときは、ひざとひざを軽くそろえ、足の裏を床につけます。脚を組むくせがある人は、まずは「組む時間を短くする」ことから始めましょう。
歩くとき:まっすぐ前に脚を出す
歩くときは、1本の線の両側を歩くイメージで、脚をまっすぐ前に出します。つま先とひざが同じ方向を向いているかも確認しましょう。
なぜ「鍛える」より「使える」が大切なのか
内ももをきたえようと、重いトレーニングをがんばる人もいます。でも、エクササイズの時間だけ内ももを使っても、1日の大半を占める立ち方・座り方が変わらなければ、脚を支える力の偏りはなかなか変わりません。
ピラティスで大切にしているのは、筋肉を大きくすることより、ふだんの動きの中で使えるようにすることです。エクササイズで内ももの感覚を思い出し、立つ・座る・歩くという毎日の動きの中で、その感覚を使っていく。この繰り返しが、体の使い方のくせを少しずつ書き換えていきます。
脚のラインは、1日や2日では変わりません。でも、毎日の何気ない姿勢は、1日に何時間も続いています。だからこそ、毎日の姿勢を少し変えることは、どんなエクササイズよりも大きな力を持っているのです。
よくある間違い:内ももを「力いっぱい」締める
内ももを意識しようとして、クッションを力いっぱいつぶしたり、脚を強く閉じたりする人がいます。でも、力を入れすぎると、お尻や太ももの外側、腰まで一緒に固まってしまい、かえって内ももだけを使う感覚がつかみにくくなります。
ピラティスで目指すのは、「最大の力」ではなく「必要な分だけの力」です。クッションはさみなら、全力の3割くらいの力で、じんわりつぶす。呼吸が止まらず、肩や首に力が入っていない状態で、内ももがほんのり温かくなる感覚があれば十分です。
この「ちょうどいい力」を覚えると、立つ・歩くといった毎日の動きの中でも、内ももを自然に使いやすくなります。
よくある質問
Q. どのくらいで変化を感じますか?
個人差がありますが、内ももを意識しやすくなる、立ち姿勢がラクになるといった変化は、数週間で感じる人もいます。見た目の変化は、さらに時間がかかることが多いので、焦らず続けましょう。
Q. クッションがないときは?
丸めたバスタオルや、小さめのボールでも代用できます。やわらかく、はさみやすいものを選んでください。
Q. ひざが痛いときは?
痛みがあるときは無理に行わず、医療機関に相談してください。痛みのない範囲で、動きを小さくすることも大切です。
Q. 脚を組むくせがやめられません。
いきなりやめるのは難しいものです。組む脚を左右交互にする、組んでいる時間を短くすることから始めてみてください。気づいたときに戻す、の繰り返しで十分です。
まとめ:内ももは「目覚めさせて、使う」
- 脚の見え方には、骨格だけでなく筋肉の使い方のくせも関わる
- 脚を組む・横座り・片脚立ちのくせが、内ももを眠らせる
- クッションはさみ、ブリッジ、横向きの脚上げなどで内ももの感覚を思い出す
- 立つ・座る・歩くときに内ももを軽く意識する
- 鍛えるより、毎日の動きで「使える」ことが大切
今日から、椅子に座ったときに「ひざをそろえる」ことだけ意識してみてください。小さな習慣が、眠っていた内ももを少しずつ目覚めさせてくれるはずです。

